マウスピース型矯正装置(インビザライン)でのマウスピース矯正のデメリットは? マウスピース矯正について

Q.

歯列矯正を考えています。マウスピース型矯正装置(インビザライン)でのマウスピース矯正を考えているのですが、矯正器具にはメリット・デメリットいろいろあると思います。ワイヤー装置と比較して、マウスピース型矯正装置(インビザライン)でのマウスピース矯正のデメリットは何でしょうか?

A.

マウスピース型矯正装置(インビザライン)によるマウスピース矯正においてもデメリットや欠点はあります。

 

①取り外せる矯正装置であること

これは口腔内を清潔を保つために大きな効果を発揮してくれますが、逆に外している時間が長くなると歯が思うように動いてくれません。そのため、20時間以上使用するという条件が付きます。一方、ワイヤーを使った矯正器具は24時間装着したままですので、確実に効果が現れますが、どうしても口腔内の衛生状況は悪くなります。

 

②奥歯の方から動き出すこと

ワイヤー装置では、治療の最初にすべての歯を一度まっすぐ並べてからかみ合わせを作っていきますので前歯のガタガタなどが治療の序盤できれいになってきます。しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン)では最終目標までをいくつかのステージに分け、それぞれのマウスピースで必要最小限に動かしていきます。歯全体に力が分散するので、特定の歯にダメージを与えるという心配もありませんが、最初は奥歯の方から動き始めることが多いので前歯の変化が治療の後半になることがあります。そのため見た目の変化を実感するのに時間がかかることがあります。

 

③適応が難しい症例があること

重篤な歯周病の場合、矯正治療を行うことで歯が抜けるおそれがあります。そのため、矯正治療に入る前に、しっかりと歯周病の治療を行う必要があります。また顎関節症の場合も、その治療を受けてからとなります。歯の数が少なかったり、咬合力が強すぎたりなど、症例によってマウスピース型矯正装置(インビザライン)だけでは矯正が難しいなども稀にあります。

 

④治療中の虫歯治療が難しいこと

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は最初に採った歯型からコンピューター上で歯の動きをシミュレーションする治療法です。歯の形が変わらない程度の小さな虫歯の治療は、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の治療中であっても行うことができます。しかし、被せ物を再治療するなどの大きな治療はマウスピースを再作製する必要が生じ、治療期間のロスが生じます。通常、大きなむし歯や歯周病の治療は、矯正治療開始前に行います。矯正治療中に虫歯にならないよう、日々のケアには十分注意しなければなりません。

 

⑤永久歯に生え変わるまで治療がスタートできないこと

こどもの成長や歯の交換は正確には予測できません。ワイヤー装置では部分的に装着したり、途中で付け直したりすることができます。マウスピース型矯正装置(インビザライン)は治療終了までを予想して治療計画を緻密に立てていくので、永久歯に生え変わって固定されるまで治療をスタートすることはおすすめできません。

 

⑥患者様自身での装置の交換・お手入れが必要であること

歯磨きが丁寧にされいてもマウスピースのお手入れ不十分では意味がありません。歯磨きと装置の洗浄を考えるとワイヤー装置以上に手入れが面倒とも言えます。さらには取り外す関係上、紛失したり破損する恐れもないとは言い切れません。完全に固定されているワイヤー装置と違い装置の管理は全て自分が行うことになるが故のデメリットと言えます自己管理が非常に重要な治療法です。

 

 マウスピース矯正はスタートした当時、症例データ不足の感があったことも事実です。素材も今ほど高性能のものがなかったため、その時期にマウスピース矯正を試された方の中には、思うような結果が出なかった方もいらっしゃったようです。

 当院は、マウスピース型矯正装置(インビザライン)は様々な矯正治療法、装置の1つに過ぎないという考え方で治療を行っております。ですので、患者様の歯並びの状態や生活環境等によりマウスピース型矯正装置(インビザライン)によるマウスピース矯正治療が不向きであると判断される場合には、無理にマウスピース型矯正装置(インビザライン)のみで治療は行わずワイヤー装置による矯正治療を併用することができますので安心して治療をお受けいただけます。また、マウスピース型矯正装置(インビザライン)では治療が難しい歯並びと他院で判断された場合でも、ワイヤー装置を最初に併用することでマウスピース型矯正装置(インビザライン)の適応範囲の歯並びにしてからマウスピース型矯正装置(インビザライン)でのマウスピース矯正治療へ移行することもできます。